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Posted by さがファンブログ事務局.

「ペルセポリス~イランの少女マルジ」


こちらは映画のほうでなくて映画の原作本、16カ国に翻訳されて国際的なベストセラーになっているものです。

第1巻「イランの少女マルジ」と第2巻「マルジ、故郷に帰る」を読みました。

映画はこの2冊をうまくまとめてあり、この本の雰囲気も損なうことなく伝えています。映画化されたことによりこの本もこれまで以上に脚光をあびることになるでしょうね。

1979年イスラム革命以後のイランに暮らすマルジと家族の日々の生活がこまやかにユーモアをもって描写されていて一気に読ませます。
本ではマルジよりのその両親の素晴らしさに感銘を受けました。そして映画でも存在感があったおばあちゃんの素敵さを再確認。
マルジの家庭はかなり裕福でマルジを海外に留学させ、お母さんも海外旅行に出かけたりしています。ただ戦争は裕福な人にもそうでない人にも同じように降りかかってきて、マルジの隣家は戦禍により犠牲になってしまいます。身近な人の死に戦争の理不尽さを強く胸に刻むマルジ。思想宗教などの違いにより弾圧され処刑された人たち、政治や宗派対立、大国の思惑により市民の暮らしが左右され簡単に踏みにじられることなど、ユーモアの中にしっかりとイランの世情を描いています。

イランの歴史は本当にややこしくて、私は名前の似たイラクと混同しそうになったり、次から次へと革命だの戦争だのと起こるのでその背景を理解するのはなかなか難しいのですが、一人の少女、日本とはかなり違った境遇の少女が、成長していく物語なのでとても共感しながら読むことができ、読後感はとてもさわやか元気をもらえて、ちょっとがんばろうかな、みたいな気持ちにさせてくれるのです。

シンプルで大人っぽい可愛さを持つ絵の魅力も大きいです。
やはり映画よりこちらが数段素晴らしかった。

この本を貸してくれたチネチッタスタッフのMさん、どうもありがとう。
シアターシエマで買ったそうです。こんな本を置いてくれているシエマさんも素敵ですね。

ちょっと近況。
東京に単身赴任していた夫が佐賀に戻ってきて、今度は熊本にいた息子が大阪に転勤になりました。
2月は東京で引っ越し(Policeのコンサートにいけたのはかなり良かったですが)、それが終わったら3月は大阪まで引越しの手伝い(久々に大阪のBON JOVI 友達に再会、これも嬉しかった)、ということでやっと落ち着き佐賀と福岡でじっくり映画が見れそうです。
東京でゆっくり映画を見れなくなるのは寂しいですが。  


「君のためなら千回でも」


「君のためなら千回でも」icon12
まだ平和だったころのアフガニスタン、裕福な家庭に生まれた少年アミールと召使の息子ハッサンは幼い頃からの大の仲良し、兄弟のようにいつも一緒に過ごす二人の友情は揺るぎないように見えました。
しかし思いがけない出来事が二人の関係に亀裂を生むことになります。

ソ連のアフガニスタン侵攻で父親とアメリカへ亡命したアミール、小説家となったアミールの元にかかってきた一本の電話は二度と戻ることはないだろうと思っていたアフガニスタンへアミールを向かわせます。

子供が出てくる映画はどうしてこうも涙腺を刺激するのでしょう。
アミールとハッサン、このふたりを見ているだけでもジーンとしてしまいます。
平和なアフガニスタンの青い空に舞う色とりどりの凧、アミールの凧を一生懸命に追うハッサンの健気さ、友達への無条件の親愛の情に思わず涙がこぼれます。

映画の舞台となった1970年代から2000年までのアフガニスタンはクーデターやソ連軍の侵攻、内戦の勃発と無政府状態、タリバンによる制圧と、この国の過酷な歴史が映画から分かります。
と、書くとちょっと硬い映画のように聞こえますが、二人の少年がとにかくかわいいのでスクリーンから目が離せません。

子供の描き方が素晴らしいなと思ってみていたら監督は「ネバーランド」でジョニー・デップによき父親を演じさせ、その子供たちをとっても可愛く撮っていたマーク・フォスター。
さらに脚本は「25時」の原作者であるデイヴィッド・ベニオフ、素晴らしい音楽は「トーク・トゥ・ハー」のアルベルト・イグレシアス。
この映画の作り手はハリウッドのベテランなのですね。面白くないわけがないというもの。
一見アメリカ映画とは思えないウエルメイドな映画で、でもツボは心得ているという感じ。
アフガニスタンを描きながらも家族の絆や幼い友情という普遍的なテーマを持つカーレド・ホッセイニの原作は国際的なベストセラーになっています。

主人の息子と使用人の息子という立場の違いを越えた友情。(実は驚くような真実が用意されているのですが、それは映画を見てのお楽しみ)
アフガニスタンの空に舞った凧は十数年後同じアミールの手によってカリフォルニアの空高くあげられます。
地球上、つながっている空なのに、かけ離れた世界が存在することはつらく悲しいことですが、一度壊れてしまった友情、犯した過ちが長い時間をかけて償われたと思えるラストシーンはさわやかな感動を運んできてくれました。

(2008/2/22 シネスイッチ銀座)
チネチッタで5/22(木)に上映。