第8回東京フィルメックスにて「それぞれのシネマ」

「それぞれのシネマ」

とても見たかった映画でした。
カンヌ映画祭60回目の開催を記念して35人の世界の著名監督たちに製作を依頼した映画館についての短編映画によるオムニバス作品です。
東京フィルメックスのオープニング作品としてオープニングセレモニーに引き続き上映されました。
テオ・アンゲロプロス、ビレ・アウグスト、チェン・カイコー、コーエン兄弟、デビッド・クロネンバーグ、マノエル・デ・オリヴェイラ、アトム・エゴヤン、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アキ・カウリスマキ、アッバス・キアロスタミ、アンドレイ・コンチャロフスキー、ケン・ローチ、ナンニ・モレッティ、ロマン・ポランスキー、ウォルター・サレス、ツァイ・ミンリャン、ガス・バン・サント、ウォイン・カーウァイ、チャン・イーモウ、ラース・フォン・トリアー、ヴィム・ヴェンダース、北野武・・・・。
なんて豪華な顔ぶれでしょう。
短編を見て誰の作品かなと想像し、それが正解だった時のちょっとした自己満足。
全ての作品に監督たちの映画への思いが溢れて見るほうも至福の時間を過ごしました。

この映画のこと全て記憶に焼き付けたいと思いながら時間とともに少しづつ忘れていくのが残念です。


せめて断片でも記しておきたいと思います。
田舎の平野の中にぽつんと建つ古びた映画館。
作業服を着た男が窓口で「農業1枚」とチケットを買うシーンで笑わせてくれる。かかっている映画は「キッズ・リターン」
映写技師は監督本人でなんだかおかしい北野武ワールドでした。

もしやレスリー・チャン。何かの映画の一遍だったのか。美しくはかなく悲しくもあります。
ウォン・カーワイ、一目で彼の作品とわかりました。

映画館の客席、隣の席の男の自慢話が止まらない、ついにきれてしまった男がとった行動は・・・
驚きました!監督はラース・フォントリアー、やはり私はアナタは苦手です。

工場に常設の映画館、仕事を終えた工員が続々と映画を見にやってきます。
この無表情、この室内のしつらえ、カウリスマキ以外ではありえない世界。
いいですねー。

村の野外上映会場。映画を待ちわびる村人たち。大はりきりの男の子。帳が降りやっと映画が始まったときには夢の中。
チャン・イーモウです。
そして私にとってはとてもとらえどころがないのがホウ・シャオシェン
映画は見たこと無いのにその予告編やこれまでにインプットされていた情報そのままの雰囲気だったツァイ・ミンリャン。

ロマン・ポランスキーのかなりエロティックな作品にも笑えました。映画は「赤い航路」だったでしょうか。
ナンニ・モレッティのユーモアも好き。
「ロミオとジュリエット」(オリビア・ハッセー版)を見て涙を流す観客の顔をひたすら写したのは・・・・
ピレ・アウグスツだったでしょうか・・。

そんな中で一番好きだったのはケン・ローチでした。
映画館の窓口に並ぶ父親と息子、見る映画がなかなか決まりません。
買う順番になって後ろの客からは先に買わせろとせっつかれます。
息子「今何時?」 父親「2時15分」 息子「サッカーが始まる時間だね」 父親「じゃあサッカーにするか」と映画館を飛び出していく親子の仲睦ましい姿がなんとも微笑ましい作品でした。

たかが映画じゃないの、されど映画なのですね。

オープニングセレモニーには映画祭の審査員の行定勲監督、撮影監督の山崎裕氏、カンヌ映画祭の代表補佐クリスチャン・ジャンヌ氏、ドイツ映画祭ディレクターのドロテー・ヴェナー氏の舞台挨拶もあり、国際フォーラムのホールはほぼ満席でした。

(2007年11月17日 東京国際フォーラム)






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この記事へのコメント
この映画の噂は聞いていましたが、すごい顔合わせですね。
それも、監督と作品が全員あたりとは、素晴らしい~。
私には到底無理です。
是非、観たいので一般公開されると良いな~。
それも、佐賀でせめて、福岡で観たいものです。
Posted by kobasaki at 2007年11月19日 00:09
sakiさん
私すべて当たりではないですよ。
でもこの映画本当にいいので機会があれば是非ご覧になってください。
レスリー・チャン見て(多分そう)sakiさんなら涙が出たかもと、思いました。
福岡くらいならばいずれ公開されるかもしれませんね。
チネチッタでできるものならば上映したいです。
Posted by capra at 2007年11月19日 09:25
絶対チネチッタで上映しましょうよ!
Posted by Oちゃん at 2007年11月19日 16:34
やりたいよー。
可能かな・・。いずれにしろもうしばらくしてからですね。
Posted by capra at 2007年11月19日 20:57
コメント欄のリンク先から飛んできちゃいました。
ロミオとジュリエットで涙してたのは、アッバス・キアロスタミ監督ですよ。
国や宗教が違っても、女の子の憧れって変わらないもんですね。
大阪ではコーエン兄弟がなかった…(涙)。
Posted by ジェルソミーナ at 2008年08月28日 19:38
ジェルソミーナさん
「ロミオとジュリエット」キアロスタミでしたか。
ありがとうございました。
Posted by capra at 2008年08月28日 22:32
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