「once ダブリンの街角で」「僕のピアノコンツェルト」他

「once ダブリンの街角で」
街でギターをかき鳴らし歌う男(グレン・ハンサード)の前に現れた一人の女性(マルケタ・イルグロヴァ)。
たった一度の偶然の出会いから友情と愛が、そして素敵な音楽が生まれました。
その女性はチェコからの移民で街で「Big Issue」や花を売っています。
男は家業を手伝いながらミュージシャンを夢見ています。
心が満たされていくような音楽が生まれる瞬間、それを仲間と共有する喜び、そして劇中流れる音楽の魅力、映画を観る私も登場人物と同じ気持ちになれて音楽に関わる映画は大好きです。
同じアイルランドのご機嫌な音楽映画にアラン・パーカーの「ザ・コミットメンツ」がありますが、グレン・ハンサードは「ザ・コミットメンツ」にも出演しています。
実際ロック・グループ”ザ・フレイムス”の創立メンバーでマルケタ・イルグロヴァもそのグループで一緒に演奏していたそうで、道理で歌もピアノもうまいし、息もピッタリなはずです。
最近は飛躍的な経済発展を遂げているアイルランドは逆に移民を受け入れる国になったのだそうで、その移民の1人が彼女の家族だったわけです。
アイルランド映画と言えば「アンジェラの灰」や「マイケル・コリンズ」「クライング・ゲーム」など移民やIRA闘争などの印象が強かったので、日常をさりげなく描いたこんな普通のアイルランド映画は初めてみたような気がします。
ラスト、男の素敵なプレゼントに涙が滲みました。いい映画でした。
(2007/11/12 シネ・アミューズ EAST)
「僕のピアノコンツェルト」
天才ピアノ少年のピアニストになるまでの物語だろうと思って観ていたらいい意味でどんどん期待を裏切られました。
ピアニストというより天才少年の物語といったほうがいいですね。
天才、神童と呼ばれる子を持つ親の側もいろいろと苦労なようですがそれ以上に大変なのは本人、そんな自分を変えたいと驚くような行動に出るのです・・・。
幼少時代の子役がものすごく可愛くて目がスクリーンに釘づけになりました。
この少年のおじいちゃんに「ヒトラー最期の12日間」のブルーノ・ガンツが扮し味わいのある演技を見せてくれます。
こんな祖父がそばにいるなんて本当に幸せだと思えます。
映画には善き理解者としておじいちゃんやおばあちゃんが登場しますね。
これ実話なのかな、と思わせるところがこの映画のうまいところです。
アカデミー外国語賞ノミネートのスイス映画。なかなか個性的な映画で楽しかった。
(2007/11/13 銀座テアトルシネマ)
*写真は銀座中央通りでもひときわ目立っていたMIKIMOTOのツリー。
お昼でもこの綺麗さです。