「グッド・バッド・ウィアード」「ちゃんと伝える」

「グッド・バッド・ウィアード」
セルジオ・レオーネ監督「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」の原題が「The Good, The Bad and The Ugly」でこの映画のタイトルをそのままいただいたような「グッド・バッド・ウィアード」はストーリーも3人の男の宝探し、「続・夕陽のガンマン」へのオマージュとでもいうような作品である。
「続・夕陽のガンマン」の名シーン、クリント・イーストウッドとイーライ・ウォラック、リー・バン・クリーフの息も詰まるような決斗シーンも再現されている。
韓国映画お得意のバイオレンスシーンには少々辟易だが、列車強盗、大爆発、銃撃戦、いろんなものをつめこんで、サービス満点。終始笑わせてくれるソン・ガンホと病的に残忍でクールなイ・ビョンホン(白いシャツが似合っている)、とにかくスマートでかっこいいチョン・ウソンと、3人の個性が見事に際立っている。
いろんな部族やら革命軍やら日本軍まで出てきてこちらの頭の整理がおいつかなくなるも、ラスト30分の広大な砂漠での馬と車とバイクの砂塵を巻き上げながらの銃撃戦は映画ならではの一大スペクタクルで大いに楽しませてくれた。特に馬上でライフルをくるっと回して撃つチョン・ウソンのかっこよさと言ったら、韓国の役者ながら、まるで西部劇の大スターのようなオーラが出まくっていてこのシーンのためにこの映画を撮ったのではないか、と思うほど。
お人よしでどんくさかったソン・ガンホも、サイコな役どころのイ・ビョンホンも、まあチョン・ウソンだけは終始かっこよかったけど、最後は役者の存在感をしっかりと感じさせ、この映画はこの3人のための映画なのだと思った次第。
韓国では大ヒットで子供から大人まで観ているそうですが、結構残虐なシーンも多いのに子供が見ても大丈夫なのかな。
ともあれ韓国製大活劇、スクリーンの大画面で楽しみたい映画ではあります。
付記:アジアフォーカスでもないのに入場前の列、まだまだ韓国イケメン俳優の人気を実感。
ソラリアシネマの2番がほぼ満席状態でした。
私のお隣さん、ソン・ガンホの演技に笑い、イ・ビョンホンの残忍なシーンでは思わず顔を覆い、途中居眠りもされたりして、ほとんどが女性の映画館の中は大好きな俳優さんたちを暖かく見守っています、というような雰囲気が漂っていました。
(2009/7/2 ソラリアシネマ)
「ちゃんと伝える」
園子温監督作品で見たことあるのはあとチネチッタで上映した「気球クラブ、その後」。この2本しか見ていないというのも、とても偏った見方をしているものだと思います。
エグザイルのAKIRAはなかなか堂にいったもので、素直な感じがとてもよかったけど、奥田瑛二扮する父が高校の体育教師にはとても見えなかった。
いつまでも存在すると思っていたあなたの大事な人が突然いなくなるとしたら・・という本当は誰にでも起こりうることを淡々と描いていた。
映画を見ているときには気がつかなかったけど、それがとてもよく表れているシーンがあった。
それは入院中の夫(奥田瑛ニ)を毎朝見舞いに行く妻(関根恵子)が乗るバス、なじみになった若い運転手さんが「いつもの病院までですね」と声をかける。
ある朝バス停で運転手さんがドアを開けるとそこには毎日待っているはずだった彼女はいない。
劇中何度も出てくる「ちゃんと伝える」という言葉。
監督は亡くなったばかりの父へこの映画をささげています。
(2009/7/2 ユナイテッドシネマ・キャナルシティ)