大分「シネマ5」で映画を観る

大分「シネマ5」で映画を観る
本当に久しぶりの更新となりました。

大分のミニシアター「シネマ5」までチネチッタスタッフの二人と、福岡の映画友達でミニトリップ。
「接吻」はシネテリエ天神で2週間上映されたものの夕方と夜の上映だったので見逃していました。
シネマ5では「接吻」公開に合わせて増村保造の特集が組まれ、11日金曜のレイトで「赤い天使」を、12日土曜初日に「接吻」を鑑賞しました。

「赤い天使」
太平洋戦争末期中国の野戦病院、次々に運び込まれる負傷者、そのリアルな映像は「プライヴェートライアン」どころではありません。切り取られた手足が樽のようなものに詰め込まれている様子や欲求のはけ口を看護婦に向ける兵士たち、慰安婦まがいのことをするヒロインなど、ほとんどエロとグロの世界。そんな中はきだめの鶴ならぬ若尾文子の色気や美しさは筆舌に尽くしがたく、今これほどの花のある女優はいないと思えます。
明日の命もしれない世界だからこそ、あれほどストレートに臆面もなく人を愛することができるのかもしれませんが、全く女が見てもかわいらしく「軍医殿、大好きです」と言う言葉が今もよみがえってきます。
愛の映画でありながら強く反戦のメッセージを突き付けてくる映画でもありました。
初増村、映画館のスクリーンで見れて本当に良かった。これをテレビの画面などで見るのとでは作品の印象もずいぶん違ったものになったと思います。

「接吻」
若尾文子もすごいけど小池栄子の怪物のような女ぶりには驚きました。間違いなく彼女の代表作になるでしょうし、こんなに上手い役者さんだったとは。
殺人者坂口(トヨエツ)をテレビのニュース映像で見て興味を持ち、刑務所に面会に行き、まるで自分の分身のように信じ込む京子。結婚までしてしまうのですが、坂口のわずかな心の変化を許すことができずに事件は思いもよらない展開に。
この衝撃のラストをどういうふうに解釈したらいいのかまだよくわかりません。
最近の秋葉原の事件など、いろいろと事件が起きるたびに家庭環境や生い立ちなどが語られ、精神分析や心理学の先生がいろいろと分析を試みられるけど、この映画を見るとこんな風に殺人者になるのかもしれないと思えるところがあり、映画は全く時代を映す鏡だと思うのです。

素晴らしい映画を2本見て映画の前後にはシネマ5の館長とお話しし映画の楽しさに満たされた2日間でした。

オマケ
大分県立芸術会館で「モーリス・ド・ブラマンク展」鑑賞。野獣派と呼ばれたブラマンクの絵画はまるで映画のワンシーンを想像させるようなストーリーを感じさせるもので、かなり気に入りました。
宿泊したホテルは去年できたばかりのしゃれたデザインホテル「Fino」大分駅からも徒歩10分という立地で一泊6000円と大満足でした。

明日はチネチッタの上映会「光州5・18」
「私のちいさなピアニスト」以来 半年ぶりの韓国映画ですよ。






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この記事へのコメント
初めてのコメント失礼します。

「赤い天使」…この前見ました!西看護婦の可愛らしさに私も打たれた記憶があります。乱暴される所や手足をのこぎりで切断のシーンは、パソコン画面でもなかなか印象的でしたが、劇場で見たらさぞド迫力だった事でしょう。私だったら直視できなかったかもしれません…。

小池さんが好きな私としては「接吻」も見たいと思っていたのでとても参考になりました、ありがとうございます!
良己さんからも少し聞きましたが、大分行きはとても学ぶ所の多い有意義な旅だったみたいですね。夏に佐賀に帰った暁には、ブラマンクの話も含めてまた色々聞かせて下さいー。
Posted by みふ at 2008年07月17日 01:21
みふ様
コメントどうもありがとうございます。
「赤い天使」を見ていらっしゃったとはおそれいります。
やはりこの映画はスクリーンで集中してみるほうがいいようですよ。
旧作を映画館で見る機会があまりないので本当は増村の他の作品も見たかったのですが。
夏休みはぜひ映画談義しましょうね。
ビールでも飲みながら。

ブラマンク本当気に入りましたよ。
画集を買っておけばよかったと、後悔しています。
でも実物と写真では色合いなどかなり違いますからやはり機会があれば絵画展まめに行きたいものです。
Posted by capra at 2008年07月17日 09:50
大分行かれたんですね〜。シネマ5は抜群の雰囲気ですよね〜。

増村は溝口の前にはまってたので、「赤い天使」もシネリーブルであった、レトロスペクティブ上映会で観ましたよ〜。増村の初期の明るい作品も良いし、この頃のちょっとエグイ感じのも良いですね。

何せ女性映画を撮らせたら抜群です。強い女性を描くのが好きなので、見ていて気持ち良いわ。この時代に見ても色あせてないのが本物だなぁと思う次第です。

来月いいちこセンターである無声映画を観に行こうかどうしようかと悩んでいます。ご一緒に如何ですか〜(笑)。
Posted by るき乃 at 2008年07月20日 02:36
るき乃さん
リーブルのレトロスペクティブご覧になっていたなー、と思っていました。
夜だったから見れなかったのでいい機会でした。
本当に今みても古さを感じさせないのは本物の映画だからでしょうね。
いいちこセンターのチラシももらってきて興味ありです。
行きたいのはやまやまですけどね。
Posted by capra at 2008年07月20日 09:44
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